ご飯




今日は何の日だっけ。
仕事から帰ってきたイルカを一番最初に出迎えたのは、カカシではなく夕食の香りだった。
玄関を開け、靴を脱ぎ部屋に入れば案の定、テーブルの上に揃うおかずの数々。

イルカ先生の作ってくれるご飯が一番です。
何時もカカシはそう言うから、夕食の用意はどんなに遅くてもイルカの役目だった。というより、嬉しそうに食べるカカシを見たくてそうしていた。だからこそ、この状況になる理由がわからない。ふんふんと鼻歌とともにやってきたカカシは、立ちつくすイルカを見ておかえりなさい〜とご機嫌で向かえる。

「ええと…カカシ先生。これは一体…」
「あ、やっぱり作りすぎでしたか?ちょっと力入れすぎでしたね〜」
「いえそんなことは…というか、何故料理を?」

ようやくイルカの言いたいことがわかったのか、カカシはああと呟き照れくさそうに話し出した。

「今日の任務は料理教室を開いている先生の手伝いだったんですが、その先生がとても楽しく料理を作るので俺もやってみたくなったんです」
「へぇ…」
「しかも以外と難しい!調味料の加減で味が変わるんですから…奥が深いと言ったら笑われましたよ」

そうなんですかと相づちをうち、イルカは椅子に座る。お腹が空いているのを差し引いてもカカシの料理は美味しそうだった。帰ってきてすぐ食事にありつけるのも良いものだと、いただきますをして、箸をつける。

「あ…すごい美味しい!美味いデスヨ!カカシ先生!!」
「本当ですか!ありがとうございます!先生!」

反対の席に座り、カカシも夕食を食べ始める。まぁまぁかなと言うとイルカから美味いです!と怒られた。


『何時も寄りかかってばかりじゃ駄目よ!カカシ先生!たまにはご飯ぐらい作ってあげなきゃ!!』


そうサクラに怒られて、挑戦した料理だったが、イルカの顔を見れば成功だと言って良いだろう。こんな顔を見れるなら、ご飯を作るのも楽しいよね。任務の終わりまでずっと笑顔を見せていた料理の先生を思い浮かべ、イルカの言葉に相づちを打った。

ご飯 (2005.3.31)