きゃっきゃっと小さな紅葉を振り回す赤ん坊をカカシはじっと見る。 斜め当ての額当て、顔の半分を隠す口布。大抵の子供は顔を顰めるというのに、この赤ん坊だけは何故かご機嫌。 「…将来が心配だわ」 「まだ大丈夫だってばよ!今からなら!」 「いや…今のうちだな」 失礼な台詞を吐く子供達を後目に、赤ん坊はカカシと離されそうになるといやいやと首を振った。どうしてここまで好かれるのかはカカシもわからず、首を傾げる。 「ちっちゃいなぁ…」 「そりゃそうよ!赤ん坊なんだもん」 「うん、それはそうなんだけどね。生まれた時はこんな小さいのに、数年もすれば大きくなるんだろ。不思議だよなぁ」 そして、自分にもこんな時があったのだと。 それはとても不思議な感覚。 「おっきくなれよ〜たくさん食って、たくさん見て、たくさん大切なものを手に入れて」 そして、自分がイルカと出会ったように、愛しい人と出会いますように。 幸せになれよ。 そう呟いたカカシを子供達は不思議そうに首を傾げ、赤ん坊は当たり前だと言うように楽しそうな笑い声を響かせた。 赤ん坊 (2003.5.31) |