クリーム




何を見てるんだろう。
店の外にカカシを待たせ、買い物を終えたイルカはこちらに背を向けて立っているカカシに首を傾げる。

「ありがとうございました〜」

カランと、扉に付けられているベルが鳴る。そこから出てきたのは小さな女の子とその母親。胸には大事そうに箱を抱え、嬉しそうに笑っている。

「…カカシ先生?」
「うわっ!…びっくりしました。終わったんですか?」
「ええ。お待たせしました…ところで何を見てたんですか?」
「え」

明らかにしまったという顔で、僅かに目線を動かすカカシ。じっとイルカが見つめれば、困ったように微笑む。

「ケーキですか?」
「…しっかり見てたんですか?」
「ええ。店から出てくる人を目で追っていたのを。買いますか?」
「え!でも…イルカ先生和菓子の方が好きでしょ」
「そんなことないですよ?あそこのケーキは美味しいって女性の同僚達の間では有名なんです。今日はケーキにしましょう」

はいと嬉しそうな顔をするカカシに、どこかほわんとなったイルカだった。

家に帰り箱を開けば、沢山のクリームが乗ったケーキが顔を出す。カカシは普通のクリーム、イルカはレモンのクリームを選び、美味しいですねと言い合って。

「あ、イルカ先生。ここに」

拭う前にカカシの唇に舐められて。真っ赤になればカカシの口にもついているのを見つけて。
いつのまにか床に転がって。
何度も交わす口づけは甘く、互いの唇を舐めるたびに違う味がすると、笑い合った。

クリーム (2004.6.22)