邪魔者




「はたけ上忍!」

イルカに声をかけようとした瞬間、見知らぬ女に邪魔をされた。

「……は?」

見つめる先にいるイルカとの間に入り込んできた見知らぬ女。顔を赤く染め、目線を彷徨わせているが…考えても彼女に見覚えはなく。

「えっと…誰?」
「わ…私!ずっと憧れていました!それで…」

何かぐちゃぐちゃと言っているが、カカシの耳には届いていない。それよりも、どんどんと離れていくイルカに焦ってしまう。

(俺とイルカ先生の間に入り込まないでよ)

ぎろりと小さく睨むと、ようやくカカシの不機嫌さに気付いたのか、邪魔者は顔を青ざめ消えていった。


「…カカシ先生。今日告白されていたでしょう」

イルカを胸に納めていたカカシは、彼の言葉に首を傾げる。そんな様子に、イルカはむっとしたのかカカシとの間に隙間を作った。

「なんで隠すんです?俺が気付かないとでも思ったんですか!?」

酷く怒っている…というより悲しんでいるらしいイルカ。しかし、本当にカカシは何のことかわからなくて怪訝そうな顔を崩さない。

「…昼間女性に…」
「ああ…イルカ先生との間に入ってきた邪魔者のこと?」
「邪魔者って…それより俺との間に?」
「そうですよ。遠くにいた先生に声をかけようと思ったのに…その間に入り込んで来るんだから…」
「……ずいぶんと距離はありましたが?」
「目線上に入れば皆邪魔者です」

きっぱりとそう言い切るカカシ。この様子では女性の話など一つも聞いていなかったのだろう、イルカは少しだけ呆れた。だがその隙を見つけてカカシは開けられた隙間を抱きしめることで埋める。

「告白なんて入らないですよ。貴方以外は」
「…しないですよ。俺」
「……え〜…」

とても残念そうな顔をするカカシ。見るからにしょぼんとした耳の垂れた犬。

「だって告白って相手に気持ちを伝えるために言うんでしょう?俺は好きだって言ってありますから」

笑うイルカにカカシは顔を染め、ぎゅっと彼を抱きしめた。

邪魔者 (2003.5.16)