「…肉まんが食べたい」 「…はぁ?」 「肉まん、カレーマン、ピザまん…新製品のブタマンも食べたいなぁ」 カカシの胸の中でぼそぼそと呟くイルカ。行為が終わった後で甘い雰囲気を堪能していたカカシは、イルカの言葉に見事にそれをぶち壊され、怒るというより、何がなんだかわからなくて困惑した顔を見せていた。そして何故かよしっと叫ぶ声がして… 「カカシ先生。お願いします」 「………俺に買いに行けとおっしゃるのですか?イルカ先生は?」 「はい」 「もう店は閉まっていますよ?明日まで我慢して…」 「先日木の葉の商店街に24時間営業のコンビニができたんですよ。だからきっとありますよ」 ここで嫌だと言えば、何が返って来るのかわからなくて、カカシは泣く泣くイルカの傍から離れていった。 (…くそう) 別にコンビにのせいではないのに、その建物を睨みつけるカカシ。 ぎらぎらとこの店だけが夜の中輝いている。何気なしに店を見れば、利用者が多いのか中にもちらほら人影が見える。 (…まぁ任務帰りには助かるかもね) ろくな食事も取らず帰って来た忍達に暖かい食事など待っているはずも無く、それを考えれば中で暖めてくれるコンビニは重宝されるかもしれない。 いらっしゃいませーと店員から声をかけられて、カカシはレジの横にあるケースの中身を買いにそこへ近づいていった。 「えーと、ここにあるのとりあえず2コつづくれる?」 「肉まん、ピザまん、ブタマン2コづつですね?少々お待ちください」 どうやらイルカの言っていたピザマンは売れきれのようだ。店員がまだ湯気のたつそれを袋にいれるのを見ながら、金を払う。去り際に時計を見れば24時。 「ありがとうございましたー」 何が悲しくて、24時にコンビになんぞにいなくてはならないのだろう。 今日は朝まで幸せな時間をすごすはずだったのに。 「お帰りなさいカカシ先生。ありがとうございます」 嬉しそうな顔をして、肉まんをほうばるイルカ。恨み言一つでも言ってやろうかと思っていたが、それを見てしまえば何も言えなくなった。 (…ま、いいか) 小さく笑って、カカシもそれに付き合うことにした。 24時のコンビニ (2003.4.30) |