「カカシ先生、カカシ先生!!!」

ゆさゆさと揺られながら、カカシは自分を呼ぶ声にうっすらと微笑む。
一向に起きないカカシに対しての呆れ、そして朝食が片づかないと怒っていたり。
そんなイルカの声が気持ちよくて。
つい眠ったふりをしてしまう。

「もう!知りません!!」

踵を返そうとした瞬間、布団の中から伸びた腕がイルカの腕を捕らえ中に引っ張り込む。当然怒りの声が落ちるが気にしない。

「カカシ先生っ!!」

きっと真っ赤な顔をしながら怒っているのだろう。瞼を閉じたままでいれば、イルカの声だけが自分の世界を創る。

「後少しですよっ!!!」

呆れたような優しい声。

笑いながらぴったりとくっつけば、彼の溜息が耳元にかかった。

「…イルカ先生」
「なんですか?カカシ先生」

たったこれだけで安心できる。
それは貴方の声の魔力かも。

声 (2004.3.22)