きかい




始めて入ったカカシの部屋は、あまりものがなくガランとした印象を受けた。

「何もないでしょ」
「えーと…そうですね」

あははと笑ったカカシは、カップを二つと、冷蔵庫から漬け物やらおひたしやら、次々と出してきてテーブルに並べる。

「準備万端ですよ」
「…すごいですね、これ全部カカシ先生が作られたんですか?」
「時間ありましたしねぇ。イルカ先生に喜んでもらおうと思って張り来ちゃいました。ま、こんな機会でもないと料理もしませんし」
「え。そうなんですか?」
「ええ。俺らはもっぱら外食派ですからね、誰かの家に招くとか招かれるとかはないんですよ」

だから、イルカ先生が始めてですね。
そういわれて、ぼっとイルカは真っ赤になった。

…まるで貴方は特別ですよ言われたようで。

「それじゃ、飲みましょうか」
「…はい、お疲れ様でした」
「お疲れ様はイルカ先生でしょう?俺の方は今日休みだったんだし」
「あ、そうですね」

照れたイルカを優しく眺めるカカシ。
その眼差しに胸が高鳴るのは、気のせいだと、イルカは思い込んだ。

きかい (2003.11.28)