call




最近不思議なことがある。
とあることを思うと、いつも叶うこと。
何故だろう、どうしてだろう。
まさか…と思いついたことはすべてやってみたが、どれも違って。

それが本当に偶然だとわかっていても。

ようやく授業が終わった頭で、ぼうっと流れる雲を眺めていた。
真っ白い雲。それを見て、思い浮かべてしまう人。

会いたいな。

そう思ったら。

「…何してるんですか?イルカ先生」

ほら。現れる。

「…カカシ先生」

木の幹に体重をかけて、自分を見下ろすカカシに、イルカは小さく微笑んだ。ご苦労様ですと告げれば、貴方もと返される。心地よい時間。
あまりにカカシが嬉しそうだから、ついイルカは言ってみた。

「カカシ先生って神出鬼没ですよね」
「?そうですか?」
「ええ、いつも急に現れますから」

自分の思いを半分隠して、そう告げればカカシは無言になった。

「会いたい」
「え?」
「会いたいって声が聞こえたんです。イルカ先生の声」
「…は?」
「大好きな人からのcallは絶対取るのが俺の主義です」
「…なっ!!!」

恥ずかしい台詞を、どうどうと告げるカカシにイルカは真っ赤な顔で口をぱくぱくさせる。そんなイルカへカカシはくすくすと笑った。

「先生、かわいーですね」
「男に何を言うんですかっ!!!」

わざと肩を怒らせて歩けば、後ろから笑いを含んだイルカを呼ぶ声。

…俺にもカカシ先生のcallが聞こえているのかな。

「うるさいですよ。カカシ先生」

そう言いながらも、嬉しさは隠しきれなくて。
それを承知しているように、振り返った先には穏やかな顔をしたカカシが立っていた。

call (2003.10.23)